土地活用営業を続けているものの、「この経験はほかの会社でも通用するのか」「飛び込み営業以外に何ができるのか」と不安に感じる方もいると思います。
土地活用営業では、新規訪問の印象が強いため、転職活動でも「土地オーナーへ訪問していた」とだけ説明してしまいがちです。
しかし、実際の仕事には、顧客の開拓、課題の聞き取り、高額な建築計画の提案、社内調整、長期案件の管理など、ほかの仕事でも活かせる経験が含まれています。
私は土地オーナーへの新規訪問から、建築計画の提案、社内調整、契約後の引き継ぎまで行っています。
この記事では、土地活用営業で身につくスキルと、その経験を職務経歴書や面接でどのように伝えるかを解説します。
土地活用営業の基本的な仕事内容については、以下の記事をご覧ください。
土地活用営業とは?現役営業が仕事内容・一日の流れ・適性を解説
土地活用営業の経験はほかの仕事でも活かせる
厚生労働省は、業種や職種が変わっても持ち運べる職務遂行上の能力を「ポータブルスキル」と説明しています。
ポータブルスキルには、課題を把握して計画を立てる「仕事のし方」と、顧客や社内関係者と連携する「人との関わり方」があります。
土地活用営業で身につけた能力も、土地や建築に関する専門知識と、ほかの業界でも活かせる能力に分けて考えられます。
土地活用営業の専門知識
- 土地や建物に関する知識
- 賃貸経営の基礎知識
- 建築計画の流れ
- 収支計画の見方
- 融資に関する基礎知識
- 相続や税務に関する基礎知識
- 建築・不動産業界の商習慣
ほかの仕事でも活かせる能力
- 新規顧客を開拓する力
- 顧客の課題を聞き出す力
- 高額商品を提案する力
- 長期案件を管理する力
- 複数部署を調整する力
- 情報を記録して整理する力
- 状況が変化しても対応する力
転職活動では、この2種類を分けて整理することで、自分の経験を説明しやすくなります。
新規顧客を開拓する力
土地活用営業では、土地オーナーとの接点がない状態から営業を始めることがあります。
新規訪問では、単に訪問件数を増やすだけでなく、次のような判断を行います。
- どの地域を回るか
- どの土地や建物を確認するか
- 何時ごろ訪問するか
- 過去の訪問結果をどう使うか
- 誰を優先して再訪問するか
- どの段階で訪問を止めるか
これは、会社から与えられた見込み客へ対応する営業とは異なる経験です。
顧客候補を自分で探し、仮説を立て、行動結果から優先順位を変える能力は、法人営業や新規開拓営業でも活かせます。
土地活用営業の訪問方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
顧客の課題を聞き出して整理する力
土地オーナーが、最初から明確な建築計画を持っているとは限りません。
「古い建物をどうするか」「土地を誰に残すか」「今後も賃貸経営を続けるか」など、複数の問題が整理されていないこともあります。
営業担当者は、質問をしながら、お客様が何を重視しているのかを確認します。
ここで必要なのは、営業側が問題を決めつけることではありません。
お客様の話から、次の内容を整理する力です。
- 現在困っていること
- 将来心配していること
- 本人が希望していること
- 家族が希望していること
- すぐに判断できない理由
- 追加で確認すべき情報
この経験は、顧客の課題を聞き、解決策を提案する営業やコンサルティング型の仕事で活かせます。
高額な商品を提案する力
土地活用営業が扱う建築計画は、一般的な商品と比べて金額が大きくなる可能性があります。
高額な提案では、商品の魅力だけを説明しても契約にはつながりません。
お客様は、次のような点を慎重に確認します。
- なぜこの計画が必要なのか
- 建築費はいくらか
- 借入れを返済できるか
- 完成後の収入はどうなるか
- どのようなリスクがあるか
- 家族へどのような影響があるか
- ほかの方法と比べてどうなのか
営業担当者には、複雑な情報を整理し、お客様が判断できる形で説明する力が必要です。
高額商品を扱った経験は、法人向けサービス、金融、不動産、設備、ITなどの営業でも評価される可能性があります。
ただし、金額が大きいことだけを強調するのではなく、判断材料をどのように整理して説明したかまで伝えることが重要です。
長期案件を管理する力
土地活用は、初回訪問から契約まで長期間かかる場合があります。
検討期間中に、家族の意向、資金、相続、既存建物などの状況が変わることもあります。
そのため、次の情報を継続して管理します。
- 過去に話した内容
- お客様が気にしていること
- 家族の意向
- 提出した資料
- 社内へ確認している内容
- 次回の予定
- 計画が止まっている理由
- 再び動く可能性がある時期
数日で終わる営業ではなく、長期にわたって案件を追い続けた経験は、受注までの期間が長い法人営業やプロジェクト型の仕事でも活かせます。
重要なのは、「長期間訪問した」と説明することではありません。
状況の変化をどのように記録し、優先順位を判断し、次の行動を決めたかを説明する必要があります。
複数の関係者を調整する力
土地活用の計画には、営業担当者と土地オーナーだけでなく、多くの人が関わります。
例えば、次のような関係者です。
- お客様の家族
- 上司
- 設計担当者
- 積算担当者
- 施工管理担当者
- 賃貸管理担当者
- 金融機関
- 税理士や司法書士などの専門家
営業担当者は、それぞれの担当者から必要な情報を集め、お客様へ説明します。
お客様から変更希望があれば、再び社内へ伝え、実現可能か確認します。
この調整では、単に伝言するだけでは不十分です。
誰が何を判断するのか、いつまでに回答が必要なのか、ほかの工程へどのような影響があるのかを整理する必要があります。
複数部署を調整した経験は、建設営業以外の法人営業、プロジェクト管理、顧客対応などでも活かせます。
建設営業全体の仕事内容については、以下の記事をご覧ください。
正確な情報を確認して伝える力
建築、税金、融資、相続などには、営業担当者だけで判断できない内容があります。
分からないことを曖昧に回答すると、お客様の判断や会社の工事に影響する可能性があります。
そのため、営業担当者には次の行動が必要です。
- 質問内容を正確に記録する
- 誰に確認すべきか判断する
- 専門担当者へ必要な情報を伝える
- 回答の条件や前提を確認する
- お客様が理解できる言葉で説明する
- 回答内容を記録に残す
これは、情報を右から左へ伝えるだけの仕事ではありません。
専門的な内容を理解し、相手に合わせて説明する力です。
結果が出ない期間も行動を続ける力
土地活用営業では、訪問や提案を行っても、すぐに契約へつながるとは限りません。
会えない日、断られる日、進めていた計画が止まる日もあります。
そのような状況でも、感情と事実を分けて次の行動を考える必要があります。
- 何が確認できたか
- 何が不足していたか
- 次に訪問する理由があるか
- 別の顧客を優先すべきか
- 社内へ相談すべき内容は何か
- 自分で改善できる部分は何か
「精神的に強い」という抽象的な表現ではなく、結果が出ない期間にどのような行動を継続したかを説明できれば、再現性のある能力として伝えられます。
土地活用営業の精神的な負担については、以下の記事でも解説しています。
土地活用営業の経験がそのまま評価されるとは限らない
土地活用営業で大きな成果を出していても、転職先が同じ経験を求めているとは限りません。
例えば、次のような説明だけでは、採用担当者に能力が伝わりにくい可能性があります。
- 毎日多くの家を訪問した
- 厳しい仕事を耐えた
- 高額な契約を取った
- コミュニケーション能力がある
- 根性には自信がある
訪問件数や契約金額は重要ですが、数字だけでは「別の会社でも同じ成果を出せる理由」が分かりません。
採用担当者が知りたいのは、どのように考え、どのように行動し、どのような役割を果たしたかです。
職務経歴書で伝える方法
職務内容を工程で説明する
「土地活用営業」とだけ書かず、どの段階を担当したかを説明します。
記載例は次のとおりです。
土地オーナーを対象とした新規開拓営業を担当。担当エリアの土地・建物の確認、訪問先の選定、新規訪問、要望の聞き取り、建築計画の提案、設計・積算・施工部門との調整、契約後の引き継ぎまで一貫して担当。
実際に担当していない業務は記載せず、自分が行った範囲だけを書きます。
数字には対象期間と役割を付ける
売上や契約金額を記載する場合は、数字だけでなく、対象期間と自分の役割を明確にします。
例えば、次の項目です。
- 担当期間
- 担当エリア
- 新規開拓と既存顧客の割合
- 契約件数
- 契約金額
- 目標に対する達成率
- 担当した業務範囲
- 社内で連携した部署
会社の機密情報や顧客を特定できる情報は書かないよう注意します。
成果までの行動を説明する
採用担当者が再現性を判断できるよう、成果へ至るまでの行動を書きます。
例えば、次のように整理します。
- 課題:新規顧客との接点が少なかった
- 行動:訪問履歴を整理し、時間帯と優先順位を見直した
- 工夫:新規訪問と継続訪問の時間を分けた
- 結果:面談や提案につながる接点を増やした
結果を誇張せず、自分が実際に行った行動を具体的に説明します。
面接で伝える方法
面接では、「営業をしていたので営業力があります」だけでは十分ではありません。
次の順番で話すと、自分の経験を整理しやすくなります。
- どのような顧客を担当したか
- 何を提案していたか
- どのような営業方法だったか
- どの段階まで担当したか
- 特に難しかったことは何か
- どのように対応したか
- 転職先で何を活かせるか
回答例は次のとおりです。
土地オーナーへの新規開拓から建築計画の提案まで担当していました。すぐに契約が決まる仕事ではないため、訪問履歴とお客様の状況を記録し、優先順位を決めて継続対応していました。転職後も、長期的な顧客管理と、複数部署を調整する経験を活かしたいと考えています。
この回答もそのまま使用するのではなく、自分の実際の経験に合わせて変更する必要があります。
土地活用営業から考えられる転職先
土地活用営業の経験は、次のような仕事で活かせる可能性があります。
- 建設会社の法人営業
- 住宅営業
- リフォーム営業
- 不動産売買仲介
- 用地仕入れ
- 賃貸管理
- 建材・住宅設備営業
- 金融商品の営業
- 法人向けの高額商材営業
- 長期提案型の営業
ただし、同じ営業職でも、新規開拓中心なのか、問い合わせ対応中心なのかで仕事内容は異なります。
土地活用営業を辞めたい理由が新規訪問や成果目標にある場合、転職先でも同じ営業方法を選ぶと、同じ問題を繰り返す可能性があります。
転職先を選ぶときは、業界だけでなく営業方法まで確認しましょう。
転職前に整理する項目
転職活動を始める前に、次の項目を書き出します。
- 続けたい仕事内容
- 避けたい営業方法
- 新規営業と既存営業の希望
- 個人営業と法人営業の希望
- 固定給と歩合給の希望
- 希望する勤務地
- 転勤や出張の可否
- 休日と勤務時間
- 活かしたい経験
- 今後身につけたい知識
- 転職によって解決したい問題
条件を整理せずに求人を見ると、給与や会社名だけで判断しやすくなります。
転職の目的は、現在の仕事から離れることではなく、自分が抱えている問題を次の仕事で解決することです。
まとめ
土地活用営業では、新規顧客の開拓、課題の聞き取り、高額商品の提案、長期案件の管理、複数部署の調整など、ほかの仕事でも活かせるスキルが身につきます。
一方、「訪問を続けた」「高額な契約を取った」と説明するだけでは、転職先での再現性は伝わりません。
どのような顧客に対して、何を考え、どのように行動し、どの範囲を担当したのかまで整理する必要があります。
職務経歴書や面接では、仕事内容を工程に分け、成果だけでなく、成果までの行動を具体的に伝えましょう。
参考資料
※この記事は、公的資料と土地活用営業に携わる筆者の実務経験をもとに作成しています。転職で評価される経験や能力は、応募先と職務内容によって異なります。
