土地活用営業を始めたものの、訪問しても断られ、なかなか商談や契約につながらない。数字へのプレッシャーもあり、「この仕事を続けていいのだろうか」と悩んでいる方もいると思います。
土地活用営業は、高額な建築計画を扱う仕事です。初回訪問から契約まで長い時間がかかり、自分の努力だけでは動かせない事情も多いため、精神的にきついと感じやすい仕事であることは事実です。
しかし、きついと感じる原因が分からないまま辞めると、転職先でも同じ問題を繰り返す可能性があります。
この記事では、土地オーナーへの新規訪問とアパート建築の提案に携わる筆者が、土地活用営業がきついと感じる理由、続けるための考え方、転職を検討すべき状態を解説します。
土地活用営業の基本的な仕事内容を先に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
土地活用営業とは?仕事内容・一日の流れ・向いている人を現役営業が解説
土地活用営業がきついと感じる7つの理由
新規訪問で何度も断られる
土地活用営業では、土地オーナーの自宅などを訪問して、新しいお客様との接点をつくる場合があります。
訪問しても不在だったり、インターホン越しに断られたりすることは珍しくありません。話を聞いてもらえるとは限らず、ときには厳しい言葉を受けることもあります。
断られる回数が増えると、自分自身を否定されているように感じる人もいるでしょう。
しかし、お客様が断る理由には、訪問されたくない、忙しい、土地活用を考える時期ではないなど、さまざまな事情があります。
断られたことと、自分の人格や営業としての価値は分けて考える必要があります。
成果が出るまでに時間がかかる
土地活用は、建築費や借入金が大きくなる可能性のある重要な決断です。
一般的な商品販売のように、その場で購入を決めてもらえるものではありません。何度も訪問し、少しずつ関係をつくり、ようやく詳しい話ができる場合もあります。
そのため、今月行った行動が、今月の契約として返ってくるとは限りません。
行動しているのに数字が変わらない期間が続くと、「自分のやり方が間違っているのではないか」と不安になりやすくなります。
進んでいた計画が止まることがある
土地活用の計画は、一度前向きに進み始めても、必ず契約まで進むとは限りません。
例えば、次のような事情によって計画が止まることがあります。
- 家族から反対された
- 相続や名義の問題が出てきた
- 資金計画がまとまらなかった
- 融資条件が合わなかった
- お客様や家族の体調が変化した
- 建築費や収支の条件が変わった
- 土地を売却する方針に変わった
営業担当者が丁寧に対応していても、避けられない事情はあります。
長期間かけて進めてきた計画が止まると、それまでの努力がすべて無駄になったように感じることもあります。土地活用営業の中でも、特に精神的な負担が大きい場面です。
本人だけでなく家族との調整が必要になる
土地は、将来の相続や家族の財産に関係します。
土地を所有している本人が建築に前向きでも、配偶者や子どもが反対する可能性があります。反対に、本人は現状維持を希望していても、家族が建て替えや売却を求める場合もあります。
本人だけを説得しても、家族の不安が残っていれば計画は進みません。
営業担当者には、誰が意思決定に関係しているのかを確認し、それぞれの考えを整理する力が求められます。
覚えなければならない分野が広い
土地活用営業では、建物の商品知識だけを覚えればよいわけではありません。
仕事を進めるには、次のような分野の基礎知識が必要になります。
- 建築と設計
- 土地に関係する法令
- 賃貸経営と家賃
- 融資と返済計画
- 相続と税金
- 不動産の権利関係
- 建物完成後の管理
営業担当者がすべてを一人で判断する必要はありません。しかし、お客様が何に困っているのかを理解し、どの専門部署へ確認すべきか判断できなければ、提案を前へ進められません。
分からないことをそのままにせず、学び続ける負担があります。
目標数字へのプレッシャーがある
営業職である以上、訪問件数、面談数、商談数、契約金額などの目標が設定されることがあります。
成果に応じて歩合給が支給される会社では、大きな収入を得られる可能性がある一方、契約できない期間は収入面でも不安を感じやすくなります。
厚生労働省の職業情報提供サイトでも、住宅・不動産営業は、基本給とは別に売上に応じた歩合給がつく場合があると説明されています。
目標があること自体よりも、結果だけで評価され、改善方法や具体的な支援がない環境の方が問題です。
お客様の予定に合わせる必要がある
土地オーナーが平日に仕事をしている場合、夕方以降や休日に面談することがあります。
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、住宅・不動産営業は顧客の都合に合わせて日曜や祝日に訪問することがあり、休日が平日になる会社も多いとされています。
実際の勤務時間や休日は会社によって異なりますが、完全に自分の予定だけで動ける仕事ではありません。
予定変更が続くと、生活リズムや家族との時間に影響する可能性があります。
実際にきついのは、断られることより「期待を管理すること」
土地活用営業を始める前は、飛び込み訪問で断られることが一番きついと思っていました。
もちろん、何件訪問しても話を聞いてもらえない日はつらいです。しかし、実際に働いていてより負担が大きいと感じるのは、自分の期待が大きく上下することです。
「この土地なら話につながるかもしれない」と考えて訪問したものの、確認してみると自分の勘違いだったことがあります。
頭では「新しい情報を確認できたのだから、訪問した意味はあった」と理解できます。それでも、そのお客様に期待していた分だけ気持ちは落ちます。
さらに話が進むと、その振れ幅は大きくなります。
次回の約束ができた、計画を見てもらえた、家族へ説明できた、契約について具体的な話ができた。このように進展するほど、計画が止まったときの落胆も大きくなります。
土地活用営業では、次の段階がすべて別です。
- お客様に会えた
- 会話ができた
- 土地の悩みを聞けた
- 次回の約束ができた
- 計画を提案できた
- 家族に説明できた
- 契約を検討してもらえた
- 契約が成立した
会えたから商談になるとは限らず、提案したから契約になるとも限りません。
だからこそ、その日の結果を「契約に近づいたか」だけで評価しないようにしています。
新しい情報を確認できたか、次に訪問する理由ができたか、優先順位を見直せたか。こうした小さな前進も記録しなければ、土地活用営業は失敗ばかりの仕事に見えてしまいます。
この仕事で必要なのは、落ち込まない精神力ではありません。落ち込んだとしても、事実と感情を分け、次に何をするかを決め直す力だと感じています。
すべてを自分の営業力不足だと考えない
契約にならなかったとき、自分の営業力が足りなかったと考えることは必要です。しかし、すべての原因を自分に求めるのも正しくありません。
土地活用営業では、自分で改善できることと、自分では動かせないことを分けて考える必要があります。
自分で改善できること
- 訪問する土地や建物の選び方
- 訪問する曜日や時間
- 最初の挨拶や質問の内容
- お客様の話を聞く姿勢
- 訪問履歴の記録
- 次回訪問のタイミング
- 社内担当者への相談
- 提案内容の分かりやすさ
自分だけでは動かせないこと
- お客様や家族の体調
- 相続が発生する時期
- 家族同士の意見
- 金融機関の融資判断
- 建築費や金利の変化
- 法令や土地条件
- お客様の資産状況
自分で改善できる部分は振り返り、改善できない部分まで自分の責任として抱え込まないことが大切です。
土地活用営業を続けるための5つの方法
契約以外の行動目標を持つ
契約は重要ですが、毎日の行動だけで完全にコントロールできるものではありません。
そのため、契約目標とは別に、自分で実行できる行動目標を設定します。
例えば、訪問数、会話できた人数、次回の約束、再訪問できた件数、土地情報を更新した件数などです。
ただし、件数を達成することだけが目的になってはいけません。どの行動が次の商談につながったのかまで振り返る必要があります。
訪問先に優先順位をつける
手当たり次第に訪問するよりも、土地や建物の状態、過去の会話、家族の状況などから優先順位を決めた方が効率的です。
私の場合、午前中は担当エリアを広く回り、午後は過去に話ができたお客様や、今後検討につながる可能性があるお客様を優先します。
訪問数だけでなく、「なぜ今日この家を訪問するのか」を説明できる状態をつくることが重要です。
会話と訪問結果を記録する
土地活用は検討期間が長いため、前回の会話を記憶だけに頼ることはできません。
話した内容、お客様の反応、家族の状況、次回確認することを記録します。
記録があれば、同じ質問を繰り返すことを防ぎ、お客様の状況がどのように変化したかも確認できます。
一人で案件を抱え込まない
建築、融資、税金、相続など、営業担当者だけでは判断できない問題があります。
分からないことを抱えたままお客様へ説明するのではなく、上司や設計担当、工事担当、専門家へ相談する必要があります。
早めに相談することは能力不足ではありません。誤った説明を防ぎ、計画を前に進めるために必要な行動です。
悪い一日だけで退職を決めない
厳しく断られた日や、進めていた計画が止まった直後は、仕事全体を否定的に捉えやすくなります。
緊急性がない場合は、その日の感情だけで退職を決めず、一定期間の記録をもとに判断しましょう。
確認する項目は次のとおりです。
- 行動量は確保できているか
- 会話や次回訪問は増えているか
- 上司や会社から支援を受けられるか
- 知識や提案力は向上しているか
- 睡眠や体調に大きな問題がないか
- 収入と生活を維持できているか
一日ではなく、数週間から数か月の変化を見ることで、仕事そのものが合わないのか、一時的に成果が出ていないだけなのかを分けやすくなります。
転職を検討した方がよい状態
土地活用営業は簡単な仕事ではありませんが、「きつい仕事だから耐えるべき」とも限りません。
次のような状態が続く場合は、転職や勤務先の変更を検討する必要があります。
- 法律や事実に反する説明を求められる
- お客様の不利益になる契約を強く迫られる
- 十分な研修や相談先がない
- 長時間労働や休日出勤が常態化している
- 上司から人格を否定される
- 睡眠や食事に継続的な影響が出ている
- 固定給だけでは生活を維持できない
- 改善を続けても仕事への強い抵抗が変わらない
このような問題は、本人の根性だけで解決できるものではありません。
土地活用営業という職種が合わない場合もあれば、その会社の営業方法や評価制度が合っていないだけの場合もあります。
「土地活用営業を辞めるか」だけでなく、「同じ経験を活かせる別の会社や職種がないか」という視点で考えることが重要です。
土地活用営業の経験は転職でも活かせる
土地活用営業では、次のような能力が身につきます。
- 新規顧客を開拓する力
- 初対面の相手と会話する力
- お客様の悩みを聞き出す力
- 高額な商品を提案する力
- 長期間にわたり関係を維持する力
- 社内の複数部署を調整する力
- 建築・不動産・融資に関する基礎知識
これらは、住宅・不動産営業だけでなく、建設業界の法人営業、リフォーム営業、不動産仲介、賃貸管理などでも活かせます。
ただし、「きついから別の営業へ移る」だけでは、転職後も同じ悩みを抱える可能性があります。
自分がつらいと感じているのが、新規開拓なのか、目標数字なのか、勤務時間なのか、会社の管理方法なのかを整理してから転職先を選びましょう。
まとめ
土地活用営業がきついと感じる主な理由は、新規訪問で断られること、成果まで時間がかかること、進んでいた計画が止まること、家族との調整が必要になることなどです。
特に難しいのは、自分が行動した時期と、成果が出る時期が一致しない点です。
だからこそ、契約だけで自分を評価せず、会話、次回訪問、提案、家族面談など、契約までの段階を分けて振り返る必要があります。
一方、事実と異なる説明を求められる、相談できる環境がない、心身や生活への悪影響が続くといった場合は、耐えることが正解ではありません。
自分で改善できる問題なのか、会社を変えるべき問題なのか、職種そのものを変えるべき問題なのかを分けて判断しましょう。
参考資料
※この記事は土地活用営業に携わる筆者の経験と公的資料をもとに作成しています。仕事内容、営業方法、評価制度、給与、休日は勤務先によって異なります。
