土地活用営業で地主が動くタイミングとは?複数の課題を提案につなげる方法
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土地活用の提案をしていると、固定資産税や相続について問題を感じていても、すぐに対策へ動く方は多くありません。
話は聞いてもらえても、具体的な検討には進まない。何度訪問しても状況が変わらない。このような場面で、単純に訪問回数を増やすだけでは成果につながりにくいと感じています。
地主が実際に動くのは、一つの悩みがあるときではなく、複数の事情が重なったときです。
この記事では、現役の土地活用営業としての経験をもとに、地主が動くタイミングの見極め方と、問題を必要以上にあおらずに伝える方法を解説します。
地主は一つの事情だけでは動きにくい
「固定資産税の負担が大きい」
「建物が古くなっている」
「将来の相続が心配」
このような悩みが一つあるだけでは、すぐに土地活用を決断するとは限りません。
問題は理解していても、今すぐ動かなければならない理由が弱いからです。費用や借入れへの不安もあるため、現状を維持する方が安全だと判断されることもあります。
営業としては、事情が一つなら動かないと考えるくらいでよいと思っています。
大切なのは、最初に聞いた悩みだけで提案を決めるのではなく、その悩みに関連する別の課題がないかを整理することです。
固定資産税だけが課題ではなかった事例
実際に、当初は固定資産税の負担を課題としていたものの、詳しく状況を整理すると、相続税対策と遺留分への備えが、より大きな問題だったケースがありました。
固定資産税の負担だけを考えれば、急いで建築計画を進める理由としては弱かったかもしれません。
しかし、将来発生する可能性のある相続税、財産を誰がどのように引き継ぐのか、遺留分に対応するための資金をどう準備するのかという問題が重なると、何も決めないまま先送りすることにもリスクが生まれます。
ここで注意したいのは、アパートを建てれば、相続税や遺留分の問題がすべて解決するわけではないことです。
固定資産税、相続税、遺産分割、遺留分はそれぞれ別の問題です。家族構成や資産状況によって適切な方法も変わるため、税額や法律上の判断は税理士や弁護士などの専門家による確認が必要です。
営業の役割は、最初から建築を結論にすることではありません。本人がまだ整理できていない問題を見つけ、選択肢を比較できるところまで道筋を作ることだと考えています。
相続を意識するきっかけは本人の外側にもある
相続を意識し始めるのは、本人の資産状況が変わったときだけではありません。
自身や家族の体調に変化があったとき、親戚の相続で問題が起きたとき、友人から相続税や遺産分割の話を聞いたときなど、身近な出来事がきっかけになることもあります。
ただし、営業がその不安を利用して契約を迫るのは適切ではありません。
「同じ問題が必ず起こる」と決めつけるのではなく、「同じような可能性がないか、一度確認しておきませんか」と提案する。この違いは非常に重要です。
「ほかのお客様では」から考えてもらう
本人が「うちは相続税対策をする必要はない」と考えている場合、正面から否定しても話は進みません。
そこで、実際に類似した事例がある場合には、次のように別のお客様の話として伝えます。
「○○様は問題ないとお考えだと思います。ただ、以前のお客様にも、相続税対策は必要ないとおっしゃっていた方がいました。専門家に相続税を試算してもらい、息子さんにも見ていただいたところ、『これだけ税金がかかるなら何か対策を考えたい』となり、具体的な検討を始めたことがあります」
この話し方の目的は、「あなたも必ず相続税で困る」と不安を与えることではありません。
似た状況の人が何に困ったのか、何もしなかった場合に何が起こり得るのか、対処するならどのような選択肢があるのかを、本人に考えてもらうことです。
なお、実在しない事例を作ったり、結果を誇張したりしてはいけません。実際の事例を使う場合も、個人が特定されないように配慮する必要があります。
不安をあおる営業との境界線
将来の税金や相続について話せば、どうしても不安をあおっているように見えることがあります。
その境界線は、解決できる可能性のある具体的な課題に絞っているかどうかです。
起こる可能性が極めて低い問題を強調したり、「今すぐ契約しなければ大変なことになる」と決断を急がせたりするのは、不安を利用した営業です。
一方で、起きたら困る問題について、発生する可能性と確認方法を説明し、対策が必要か本人に判断してもらうことはリスクヘッジです。
保険と同じように、問題が必ず起こるとは限りません。それでも、起こった場合の影響が大きければ、事前に確認する意味はあります。
どこまで心当たりを感じ、実際に動くかはお客様が決めることです。営業は、判断材料を隠さず提示する必要があります。
提案営業とは解決までの道筋を作ること
土地活用営業の役割は、最初に聞いた一つの悩みに対して、すぐに建築商品を提案することではありません。
一つの事情をきっかけに、関連する問題を整理する。複数の問題を一度に改善できる可能性があるなら、その方法を検討する。税務や法律の判断が必要なら、専門家につなぐ。
このように、現在地から解決までの道筋を作ることが提案営業だと考えています。
事情が複数重なって初めて、提案にも「今検討する合理性」が生まれます。
訪問件数だけを増やす前に、その人が抱えている問題は本当に一つだけなのか、別の課題と重なっていないかを確認することが重要です。
まとめ
地主が土地活用を検討するのは、固定資産税、相続税、遺産分割、建物の老朽化、本人や家族の体調など、複数の事情が重なったときです。
営業が行うべきなのは、不安を大きく見せることではありません。
実際の事例を使って問題の可能性を伝え、必要な試算や専門家への相談につなぎ、本人が判断できる状態を作ることです。
一つの悩みから複数の課題を整理し、解決までの道筋を作る。それが土地活用における提案営業の本質だと思います。
参考資料
・国税庁「財産評価基準書」
・国税庁「土地家屋の評価」
・法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について」
※税務・相続・遺留分に関する扱いは、個別の資産状況や家族構成によって異なります。具体的な判断については、税理士、弁護士などの専門家にご相談ください。

