建設業界の営業職とは?現役営業が仕事内容と種類を解説

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建設業界の営業職と聞いても、具体的に何を販売するのか、一般的な営業職と何が違うのか分かりにくいかもしれません。

建設業界の営業は、完成している商品を販売するだけの仕事ではありません。

お客様の要望を聞き、設計、見積り、工事、資金、完成後の管理など、複数の担当者と調整しながら、まだ形になっていない建物や工事を提案します。

私は土地オーナーに対するアパート建築の営業を行っています。建設業界にはほかにも、住宅、法人向け建築、リフォーム、建材など、さまざまな営業職があります。

この記事では、土地活用営業の実務経験と公的資料をもとに、建設業界の営業職の種類、仕事内容、向いている人、転職前に確認すべきことを解説します。

建設業界の営業職とは

建設業界の営業職とは、建物や工事を必要としている個人、企業、土地オーナーなどへ、自社の建築・工事・商品を提案し、受注につなげる仕事です。

建設会社、ハウスメーカー、工務店、リフォーム会社、建材メーカー、設備会社などが主な勤務先です。

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、営業の仕事について、自社の商品やサービスに関する勧誘、交渉、受注、契約締結などを行う仕事と説明しています。

建設業界では、契約した時点で建物が完成しているとは限りません。

お客様の要望、土地の条件、予算、法令などを確認し、社内の専門部署と一緒に計画をつくってから契約へ進みます。

そのため、営業担当者には商品説明だけでなく、社内外の関係者を調整する力が必要です。

建設業界の主な営業職

建設業界の営業職は、扱う建物や顧客によって仕事内容が異なります。

建築工事の受注営業

建設会社が、企業、医療法人、学校法人、土地オーナーなどから建築工事を受注するための営業です。

取り扱う建物には、次のようなものがあります。

  • オフィスビル
  • 工場
  • 倉庫
  • 店舗
  • 病院や介護施設
  • 学校
  • マンション
  • 賃貸住宅

既存顧客から建築計画について相談を受ける場合もあれば、新規顧客を開拓する場合もあります。

お客様の要望を聞き、設計、積算、工事などの担当者と提案内容を組み立てます。

住宅営業

住宅営業は、戸建て住宅や分譲住宅などを個人のお客様へ提案する仕事です。

住宅展示場や販売会場への来場者、インターネットから問い合わせた人などに対応します。

土地探し、間取り、住宅設備、住宅ローン、完成後の生活など、家づくり全体について話を進めます。

住宅はお客様自身が住む建物であるため、本人だけでなく家族の希望を調整することも重要です。

土地活用営業

土地活用営業は、土地や賃貸物件を所有しているお客様に対して、アパートやマンション、店舗などの建築を提案する仕事です。

建物だけでなく、賃貸経営、借入れ、相続、将来の土地の残し方なども関係します。

私が携わっているのは、この土地活用営業です。

新規訪問で土地オーナーとの接点をつくり、土地や建物についての考えを聞き、社内の設計・工事・賃貸部門などと計画を組み立てます。

土地活用営業の仕事内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

土地活用営業とは?現役営業が仕事内容・一日の流れ・適性を解説

リフォーム・改修営業

リフォーム営業は、既存の住宅や建物について、修繕、改修、設備交換などを提案する仕事です。

問い合わせに対応する営業だけでなく、既存顧客への定期訪問や、新規顧客への訪問を行う会社もあります。

お客様が現在困っている問題を確認し、工事内容と見積りを提案します。

新築工事とは異なり、建物を使用しながら工事する場合もあるため、生活や事業への影響を考えた説明が必要です。

建材・住宅設備営業

建材・住宅設備営業は、建設会社、工務店、設計事務所、販売店などに対して、建築材料や設備を提案する仕事です。

扱う商品には、次のようなものがあります。

  • 外壁材
  • 屋根材
  • 断熱材
  • 窓やサッシ
  • キッチン
  • 浴室
  • トイレ
  • 空調設備
  • 給排水設備

商品の性能、価格、納期、施工方法などを説明し、工事に間に合うよう納品を調整します。

自社商品だけでなく、建築現場でどのように使われるのかを理解する必要があります。

不動産営業

不動産営業は建設業とは別の業種として扱われることがありますが、住宅や土地を扱うため、建設営業と連携する場面があります。

代表的な仕事には、土地・住宅の売買仲介、賃貸仲介、用地仕入れなどがあります。

厚生労働省の職業情報では、住宅・不動産営業について、住宅や土地の購入、売却、賃貸を考える顧客の要望を聞き、取引をまとめる仕事と説明しています。

建設と不動産の両方を扱う会社では、営業担当者が土地探しから建築提案まで関わる場合もあります。

建設営業の基本的な仕事の流れ

扱う商品や顧客が異なっても、建設営業には共通する流れがあります。

顧客との接点をつくる

最初に、建築や工事を必要としている可能性がある顧客との接点をつくります。

主な営業方法は次のとおりです。

  • 問い合わせへの対応
  • 展示場やイベントでの接客
  • 既存顧客への訪問
  • 紹介
  • 電話営業
  • 新規訪問
  • 法人への提案
  • 土地や建物の調査

会社や職種によって、新規開拓が中心の場合と、問い合わせ対応が中心の場合があります。

土地活用営業の新規訪問については、以下の記事で詳しく解説しています。

土地活用営業の飛び込みとは?初回訪問と継続営業の考え方

お客様の要望を聞く

お客様が希望する建物、予算、完成時期、現在困っていることなどを確認します。

ただし、お客様自身も希望を明確に整理できているとは限りません。

営業担当者は、質問をしながら要望の優先順位を整理します。

建設営業では、すべての希望をそのまま実現できるとは限りません。

法令、土地条件、構造、予算、工期などの制約があるため、実現できる内容を社内の専門担当者へ確認します。

社内の専門部署と計画をつくる

お客様の要望をもとに、設計、積算、工事などの担当者と計画を検討します。

営業担当者が自分一人で図面を完成させたり、工事費を決めたりするわけではありません。

専門部署から必要な情報を集め、お客様へ説明できる形にまとめます。

見積りと提案を行う

建物や工事の内容がまとまったら、図面、見積書、工程、収支計画などを使って提案します。

金額だけでなく、なぜその計画になるのか、どのような工事を行うのか、完成後にどのような状態になるのかを説明します。

お客様から変更希望が出た場合は、再び社内へ持ち帰って確認します。

この調整を何度も繰り返す案件もあります。

契約と工事への引き継ぎ

提案内容、金額、工期などに合意したら契約へ進みます。

契約後は、営業から設計や施工管理へ、お客様との打ち合わせ内容を引き継ぎます。

引き継ぎが不十分だと、お客様へ説明していた内容と、実際の工事に違いが生じる可能性があります。

施工管理の仕事内容については、以下の記事で解説しています。

施工管理とは?仕事内容と4大管理を建設営業が解説

工事中と完成後の対応

契約後も、営業担当者がお客様の窓口として対応する場合があります。

工事の進捗、変更内容、完成時期などについて、施工管理担当者と確認しながらお客様へ説明します。

建物を引き渡した後も、点検や修繕、追加工事などで関係が続くことがあります。

建設営業は「売る仕事」だけではない

建設営業で実際に時間を使うのは、お客様との商談だけではありません。

私自身、土地活用営業として働いていて、社内調整の重要性を強く感じます。

お客様から希望を聞いても、その場ですべて回答できるわけではありません。

設計上可能なのか、工事費はいくらになるのか、希望時期に完成できるのか、賃貸住宅として成立するのかなどを、それぞれの担当者へ確認します。

確認結果によっては、お客様へ別の案を提示する必要があります。

建設営業では、次の3つを正確につなぐ力が求められます。

  • お客様が希望していること
  • 会社が提案・施工できること
  • 実際の現場で実現できること

契約を取るために、お客様へできないことまで約束すると、後で工事担当者とお客様の双方に負担がかかります。

営業担当者の役割は、要望をそのまま受け入れることではなく、実現可能な計画へ整理することです。

建設営業に必要な知識

建設営業として働くために、入社前からすべての専門知識を持っている必要はありません。

ただし、仕事を進めながら次のような知識を学ぶ必要があります。

  • 自社の商品と工事
  • 建物の構造
  • 設計図の基本的な見方
  • 建築費と見積り
  • 工事の流れ
  • 土地に関係する法令
  • 住宅ローンや事業融資
  • 不動産取引
  • 賃貸経営
  • 税金や相続の基礎

営業担当者が、設計、施工、税務、法律の専門家と同じ判断をするわけではありません。

重要なのは、お客様の質問を理解し、誰に確認すべきか判断できることです。

分からない内容を自分で断定せず、専門担当者へ正確につなぐ力が必要です。

建設営業がきついと感じるところ

契約までの期間が長い

建設工事は金額が大きく、お客様が簡単に決断できるものではありません。

家族、経営者、金融機関など、複数の関係者の同意が必要になる場合もあります。

長期間提案を続けても、計画が中止になる可能性があります。

成果目標がある

営業職である以上、受注金額や契約件数などの目標が設定されることがあります。

会社によっては、基本給に加えて、売上や契約に応じた歩合給が支給されます。

成果が収入に反映される一方、契約が取れない期間には強いプレッシャーを感じる可能性があります。

社内調整に時間がかかる

お客様が早い回答を求めていても、設計、見積り、工事などの確認に時間が必要なことがあります。

営業担当者には、お客様の希望と社内の状況を調整し、回答予定を説明する役割があります。

急いで不正確な回答をするよりも、確認に必要な時間を伝える方が重要です。

顧客の都合に合わせることがある

個人のお客様を担当する場合、平日の夕方や休日に打ち合わせを行うことがあります。

厚生労働省の職業情報でも、住宅・不動産営業は顧客の都合に合わせて休日に訪問する場合があるとされています。

実際の休日や勤務時間は会社と営業方法によって異なるため、転職前の確認が必要です。

建設営業のやりがい

提案が実際の建物として残る

建設営業では、図面や提案書だった計画が、工事を経て実際の建物になります。

自分が最初の接点をつくった案件が完成したときは、大きな達成感があります。

高額な提案に関われる

建物や工事は、一般的な商品より金額が大きくなる可能性があります。

責任は大きいものの、お客様の事業や生活に長期間影響する提案に関われます。

幅広い知識が身につく

営業だけでなく、建築、不動産、資金、法律などの知識を学べます。

専門担当者と協力する中で、異なる立場の人を調整する力も身につきます。

長期的な関係をつくれる

建物は、完成したら終わりではありません。

修繕、管理、追加工事、建て替えなどで、お客様との関係が続く場合があります。

信頼を得ることで、別の相談や紹介につながることもあります。

建設営業に向いている人

相手の話を聞ける人

建設営業では、商品説明よりも先に、お客様の要望と問題を理解する必要があります。

自分が提案したい内容だけを話すのではなく、相手の話を聞いて整理できる人に向いています。

長期間の案件を管理できる人

初回面談から契約、着工、完成まで長い期間がかかる場合があります。

過去の会話、提出資料、確認事項、次の予定を記録し、継続して管理する力が必要です。

社内外の人と調整できる人

建設営業は、お客様だけでなく、設計、積算、施工管理、協力会社、金融機関などと連携します。

自分一人で仕事を完結させるより、複数の担当者と協力できる人に向いています。

分からないことを確認できる人

建設業界では、曖昧な説明が大きな問題につながる可能性があります。

分からないことを知ったふりせず、専門担当者へ確認できる人が信頼されます。

結果が出るまで行動を続けられる人

建設営業は、行動した結果がすぐに契約へつながるとは限りません。

結果が出ない期間も、訪問、提案、記録、改善を続けられる人に適性があります。

建設営業へ転職するときの確認項目

同じ建設営業でも、扱う商品と営業方法によって働き方は大きく異なります。

求人票と面接で、次の項目を確認してください。

  • 個人営業と法人営業のどちらか
  • 新規開拓と問い合わせ対応の割合
  • 訪問営業や電話営業の有無
  • 担当する商品と工事
  • 平均的な契約までの期間
  • 営業一人が担当する案件数
  • 設計・積算・施工部門の支援体制
  • 契約後に担当する業務
  • 固定給と歩合給の内訳
  • 目標数字と評価方法
  • 研修期間と同行営業
  • 休日と勤務時間
  • 転勤や担当エリア
  • 必要な資格と資格取得支援

「建設業界の営業」という名称だけでは、実際の仕事内容を判断できません。

新規訪問が中心なのか、問い合わせへの提案が中心なのかによって、必要な能力と精神的な負担は大きく変わります。

建設営業で身につく転職可能な能力

建設営業で身につけた能力は、別の業界や職種でも活かせます。

代表的な能力は次のとおりです。

  • 新規顧客を開拓する力
  • 顧客の問題を聞き出す力
  • 高額商品を提案する力
  • 長期案件を管理する力
  • 複数部署を調整する力
  • 見積書や提案書を説明する力
  • 契約条件を確認する力
  • 顧客との関係を維持する力

転職する場合は「建設営業をしていた」とだけ伝えるのではなく、どのような顧客を担当し、どの段階まで関わり、どのような調整を行ったかを具体的に説明することが重要です。

まとめ

建設業界の営業職は、お客様の要望を聞き、設計、見積り、工事などの専門部署と計画をつくり、建築工事の受注につなげる仕事です。

主な営業職には、建築工事の受注営業、住宅営業、土地活用営業、リフォーム営業、建材・住宅設備営業などがあります。

建設営業は、商品を説明して契約を取るだけではありません。

お客様の希望、会社が提案できる内容、現場で実現できる内容を正確につなぐ必要があります。

転職する際は、扱う建物、顧客、新規開拓の割合、契約後の担当範囲、社内支援、給与、休日まで確認しましょう。

参考資料

※この記事は、公的資料と土地活用営業に携わる筆者の実務経験をもとに作成しています。筆者が経験しているのは土地活用・建築営業であり、住宅営業、リフォーム営業、建材営業などの実務経験に基づく記事ではありません。具体的な仕事内容や労働条件は勤務先によって異なります。

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